さあ、きたぞ。ザイオンナローズ。
ザイオンを最初に訪れたのが10年前。それからずっといつかこのナローズを歩くんだと決めていたものの、なかなかチャンスは訪れず。「チャンスはやってくるものではなく、自分で作らないと。」と思い（ほとんど思いつき）ﾊﾟｯｸをつめる。。。
2002年10月 「これでまた冬を迎えるんだなあ。またザイオンのナローズは来年だなあ。」といつものごとく思った。こうやって何年過ぎてきたことか。「いや、まて、この ままではいかんではないか。年ばっかりとっていく。」と思ったところで勢いづいてしまった。周りの友達に声をかけるがあまりに急なことでだれも賛同者な し。ナローズといっても正真正銘の源流のChamberain's Ranchから国立公園内のTemple of Sinawavaまでの26kmを歩 くというもの。ちょっと半端な気持ちではいけない。それでも私の勢いはよほどのもの。「とりあえずザイオンまで行ってみるか。」と思いつつ、バックパック に寝袋、テントなどを詰め込む。
さて金曜日仕事を早めにきりあげ、ザイオンへ。ビジターセンターへ直行、バックカントリーのパーミットをとらないといけない。そこでレンジャーさんに相 談。「一人で行くのは心配だけど。。。」「一日で行けるか？」「ウェットスーツは必要？」などの質問に、なんとなくあっさり答えてもらって、結局、念のた めキャンプサイトを予約、ウェットスーツも借りることにして、一人でこのまま行くことにした。ウェットスーツも借り、Chamberain's Ranchまでのシャトルの予約も完了、あとはゆっくり休むことにする。
さあ、翌朝、シャトルの集合場所にまだ暗いうちから行く。私を含めた10名がシャトルに乗り込む。そのうち３名は途中のオーダービルキャニオンの上流で下 車。どこまで連れて行かれるのかと思うほど、車はどんどん未舗装の道を進む。結局一時間以上も乗っていた。車が止まったので、みんな案内もないままぞろぞ ろと車から降りる。やはり標高が高いせいか寒い。シャトルのドライバーは、特に何の言葉も残さずさっさといってしまった。残された７名（男女２人ずつの４ 人組とカップルと私）は、それぞれにﾊﾟｯｸの点検などをして、どちらに歩くのかも定かではないのに、とりあえずこちらだろうということだけでぼちぼち歩 き出した。
最初の2.5kmほどは川の横の車道のようなところを歩いていく。そこを流れる小さな川、それがどうやらVirgin川らしい。とうとうトレイルがなくな り、川の中を歩かざるを得ないところにやってくる。例のレンタルのウェットスーツを着る。霜がおりているのに、おかげさまで水を冷たいと感じない。借りて てよかった。途中他の６名を追い越したり追い越されたりしながら進む。別に一緒に歩いているわけではないけれどなんとなく心強い。
谷がどんどんせまくなり最初のナローズというところまでやってくる。（というかそうらしい。サインなどは一切ない。）
自分の歩いているところまで日があたることはほとんどない。それでもちゃーんといろんな植物がはえたりするのにはつくづく感心する。その角を曲がっていくたびにまた違った風景が目の前に広がっていく。
出発点から11kmほどのところに滝があるはず。これがまたなかなかでてこない。
いやあ、ありました。滝が。小さい滝だけれども落差４ｍほどある。ありがたいことに滝の横の岩の裏に歩けるところがある。そうかあ、まだ半分もきてないんだ。なんだかずーいぶん歩いたような気がする。
さあこの次はDeep Creekとの合流点が目標。Deep Creekからの水がVirgin川の水量の60%を占めるとか。そこから下流のほうがずっと水量が増えて歩きづらいってトレイルガイドに書いてあったっけ。
ちょっとまずいなあああ。
といってめげている場合ではない。途中で抜け出す道はないんだから。最初はできるだけ浅いところで水の中に入らないようにって、選びながら歩いてきたけれど、このあたりからもうそんなこと言っていられないようになる。ひたすらざぶざぶと水の中を進む。
ちょっと広いところにでたところが、どうやらDeep Creekとの合流点らしい。北のほうからもう1つの川が流れ込んでいる。さっき抜いていった４人 組がランチをとっている。谷がちょっと広いので太陽の光が差し込んでいる。ここでVirgin川は南に流れを変えていく。このあたりで谷の中で１泊してい こうっていう気持ちが75%くらいまでになる。
私の予約したキャンプサイトはDeep Creekから６つめのBoulder Campというテントサイト。確かに水の量が増し、ますます歩きづらい。疲れもかくせない。
やっとの思いで例のBoulder Camp Siteに到着。まだ迷っている。このまま進むか、それともここで１泊していくか。ここを通り過ぎたら、も う歩くしかない。時間は15:30。あとまだ10km強残っているはず。川べりに座って考えているうちに、人の声。しばらく聞いてなかったなあ。
お隣のテントサイトにお泊りの男性２人組。「僕たちもくたくた。」というこの言葉で、私の気持ちは「いやあ、そうだね、ここで泊まりだよね。」に決定。ちなみにこのBoulder Camp Site、最高のロケーションなんですよ。
やっと重い足をもちあげて、キャンプの準備。
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